
「持続化補助金を申し込んでみたいが、経営計画書が書けない」
「商工会にはどう相談すればいいのか」
「前に申請したが落ちた。どこが悪かったのか」。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する代表的な補助金ですが、申請には「経営計画書」の作成が欠かせません。この経営計画書の出来栄えが、採否を大きく左右します。
先に結論を言うと、採択される経営計画書の条件はシンプルで、「将来ありたい姿」と「そのために今やること」が、数字でつながっていることです。補助金のために特別な文章を書くのではなく、日頃の経営の考え方がそのまま計画になっている会社が採択されています。この記事では、経営計画書の基本の型と、採択されやすい書き方のポイントを整理します。
【第20回公募のスケジュール(2026年10月時点の情報)】
- 申請受付開始:2026年11月5日(木)
- 商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2026年12月4日(金)
- 申請受付締切:2026年12月15日(火)17:00
様式4の締切は申請締切より約10日早く設定されています。これから準備する方は、まず早めに商工会・商工会議所へ相談の予約を入れましょう。日程は変更される場合があるため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
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おさらい:小規模事業者持続化補助金の基本

まず、制度の基本を整理します。なお、補助率・上限額・スケジュールは公募回ごとに変わることがあります。以下は第20回公募(一般型・通常枠)の内容です。申請時には必ず公式サイトの最新の公募要領を確認してください。
| 項目 | 内容(第20回公募・一般型 通常枠) |
|---|---|
| 対象 | 小規模事業者(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下など。商工会・商工会議所の支援が必要) |
| 補助率 | 原則2/3(賃金引上げ特例の対象者のうち、赤字事業者は3/4) |
| 補助上限 | 基本50万円(インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円。両方を満たすと最大250万円) |
| 対象となる取組 | 経営計画に基づく販路開拓や、それと併せて行う生産性向上の取組(チラシ、広告、店舗改修、展示会出展、ホームページ制作・リニューアル、システム導入など) |
| ホームページ関連の注意点 | ウェブサイト関連費・広報費は、それぞれ補助金額の上限30万円(税込)。どちらも単独での申請はできず、他の経費と組み合わせる必要がある |
| 手順 | 商工会・商工会議所との相談 → 経営計画の作成 → 事業支援計画書(様式4)の発行 → 電子申請 → 採択・交付決定 → 補助事業の実施 |
ポイントは、「経営計画に基づく」取組だけが対象ということです。単に「ホームページを作りたい」だけでは対象にならず、経営計画の中の販路開拓策として位置づけられている必要があります。また、第20回公募からはウェブサイト関連費の上限が「補助金額の1/4(最大50万円)」から「30万円(税込)」に変わりました。特例で全体の上限が上がっても、この30万円は変わらない点に注意してください。
経営計画書に書くこと:基本の型

経営計画書(様式2)の公式の記載項目は、次の4つです。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
これらの項目を埋めるときは、次の順番で考えると、筋の通った計画になります。
- 自社の現状:事業内容、強み、最近の売上や客数などの数字
- 将来ありたい姿:3〜5年後、どんな会社になっていたいか
- 課題:現状とありたい姿の間にあるギャップ
- 方策:ギャップを埋めるための具体的な行動(補助金で実施する施策もここに入る)
よくある失敗が、この順番を無視して「補助事業の内容」から書き始めることです。審査する側は、「なぜその施策が必要なのか」を確認しています。施策は物語の結論であって、出発点ではありません。補助事業の具体的な内容や経費は、経営計画を受ける形で補助事業計画として記載します。
採択されやすい書き方の4つのポイント

1. 計画と補助事業をつなげる
「経営計画の達成のために、ホームページをリニューアルする」というつながりが一本の線で見えることが大切です。たとえば、「3年後の目標客数を実現するには、新規顧客の獲得が必要。そのために、現状の紙のチラシに加えて、Webからの集客路線を開く」という流れを作ります。
2. 現状と効果を数字で語る
「問い合わせが少ない」ではなく、「月間の問い合わせは平均3件。そのうち紹介からのものが2件」という具体性が欲しいところです。効果も、「Web経由の問い合わせを月5件にする」という測定可能な目標にすると、計画の実現性が伝わります。第20回公募では、売上高や売上総利益の増加につながるかどうかも審査の観点に加わっているため、効果を売上・利益の見込みまでつなげて書いておくと安心です。
3. 目標は現実的に、少し背伸びする程度に
目標が大きすぎると、達成の見込みが立たない計画として評価を下げます。過去の実績と、行動計画のボリュームの整合が取れているかを確認しましょう。
4. 経営者本人の言葉で書く
代行業者に任せきりの文章は、どうしても一般論になりがちです。自社の事業への思い、これまでの取り組み、なぜこの施策なのか。経営者本人の言葉が入っている計画書は、説得力がまったく違います。
商工会・商工会議所との連携の進め方

持続化補助金では、申請にあたって商工会・商工会議所の支援を受け、「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう必要があります。様式4は事業者が自分で作成できる書類ではありません。具体的な流れは、次のとおりです。
- お近くの商工会・商工会議所に相談の連絡を入れる
- 経営計画の考え方をレクチャーしてもらい、計画の素案を一緒に固める
- 計画書を整え、事業支援計画書(様式4)を発行してもらう
- 申請書類を整えて、電子申請を行う
ここで大切なのは、商工会の担当者は「協力者」であり、「代行業者」ではないということです。自社の計画を自分の言葉で説明できる状態を作ったうえで相談すると、手続きもスムーズに進みます。様式4の発行には申請締切より早い締切が設けられているため、申請までの期間としては、余裕を持って1〜2ヶ月は見ておくと安心です。
よくある「落ちる」理由
- 経営計画と補助事業のつながりが弱い(施策だけが浮いている)
- 効果が曖昧(「売上が増える」で終わっていて、測定方法がない)
- 事業内容の説明が不足していて、審査側に状況が伝わらない
- 過去の補助金の実績報告が未了のままになっている
不採択だった場合も、計画書を見直して次回以降の公募に再挑戦できます。上のチェックポイントに照らして自分の計画書を読み直し、商工会・商工会議所にも相談しながら改善点を洗い出しましょう。落ちたことをそのままにせず、次の公募に向けて計画を磨き直すのが基本です。なお、過去に採択を受けた事業者は再申請できる時期に制限があるため、公募要領で確認しておきましょう。
申請に向けた準備スケジュールの考え方

持続化補助金は、公募が定期的に行われています。申請を検討するなら、締め切りから逆算して、次のようなスケジュールを組むのが安全です。
- 申請の2ヶ月前:商工会・商工会議所に相談の予約を入れる(相談の受付は混みやすい)
- 1ヶ月半前:経営計画の素案を固める(現状・課題・ありたい姿の整理)
- 1ヶ月前:補助事業の内容と見積もりを固める(何を、いくらで、いつ実施するか)
- 様式4の発行締切まで:計画書を整え、商工会・商工会議所から事業支援計画書(様式4)を発行してもらう(申請締切より10日ほど早いので要注意)
- 申請締切前:電子申請の入力や書類の最終確認。ぎりぎりの申請は避ける
特に初めて申請する場合は、電子申請に必要なGビズIDの取得にも時間がかかるため、余裕を持って進めてください。「今年こそは」と思いついた時点で、まず商工会への相談予約を入れておくのがおすすめです。第20回公募(2026年12月15日締切)を目指す方は、今の時点で上のスケジュールより遅れていても、すぐに相談予約とGビズIDの手続きを並行して始めれば間に合う可能性があります。
採択後の流れと、忘れがちな義務

採択が決まっても、それで終わりではありません。補助金を受け取るまでには、次のようなステップがあります。
- 交付決定通知の受領:補助事業の発注・契約は、必ず交付決定の後に行う(交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外)
- 補助事業の実施:計画どおりに実施する。変更が必要な場合は事前に相談する
- 実績報告:事業の成果、経費の証拠書類(見積書・発注書・請求書・領収書など)をまとめて報告する
- 精算払い:確定検査を経て、補助金が支払われる(後払い)
- 事業効果報告:補助事業の終了から1年後をめどに、事業の効果を報告する
特に忘れがちなのが、交付決定前の発注をしないこと、経費の証拠書類の保管、そして事業効果報告の義務です。実施時期や支払いの記録が曖昧だと、精算が遅れたり、補助金額に影響したりします。「実施しながら記録する」を心がけておきましょう。
経営計画に使える「数字」の集め方

経営計画書で躓きやすいのが、「自社の数字が手元にない」という点です。毎日の売上・客数・受注件数を記録している会社は、実は多くありません。とはいえ手遅れではなく、今の状態からでも数字は集められます。
- レジや請求データから、月ごとの売上・客数・客単価を出す
- 問い合わせがどこから来たかを、可能な範囲でメモし始める(電話・紹介・Webなど)
- 繁忙期・閑散期のゆがみを、過去1年分のカレンダーで確認する
- 商工会の相談で、自社の事業構造を一緒に整理してもらう
数字がない状態では「課題」も曖昧になります。逆に、直近1年分の数字さえ揃えば、計画書の現状分析は驚くほど書きやすくなります。計画づくりの最初の一歩は、数字の棚出しからです。
補助事業の費用は「内訳」で考える

申請する補助事業の費用は、項目ごとの内訳で整理します。たとえばホームページのリニューアルを申請するなら、「デザイン費」「撮影費」「システム開発費」のように分け、それぞれの金額と役割を明確にしておきます。
- 対象になりやすい経費:補助事業の実施に直接必要な費用(外注費、必要な機器、販促費など)
- 対象外になりやすい経費:補助事業と関係の薄い費用や、間接的なもの(詳細は公募要領の「補助対象経費」を確認)
- ウェブサイト関連費・広報費の上限:それぞれ補助金額で30万円(税込)まで。単独では申請できないため、他の経費と組み合わせた計画にする
- 相見積:1件あたりの発注額が50万円(税込)を超える場合は、2者以上から見積もりを取る必要がある(委託・外注を含む)
- 消費税の扱い:事業者区分(免税か課税か)で計上方法が変わるため、事前の確認が欠かせない
曖昧なまま申請すると、後から対象外と判断されて損をすることもあります。見積もりの段階で、内訳ごとに対象可否を整理しておくのが安心です。ホームページ制作を計画に入れる場合は、補助金額30万円(補助率2/3なら、補助対象となる制作費は税込45万円まで)を目安に、計画全体のバランスを考えましょう。
経営計画は「補助金のため」ではなく「経営のため」

最後に、いちばん大事なことを書きます。経営計画書は、補助金のために作る書類ではありません。自社の今後を決めるための、経営の設計図です。補助金は、その設計図を実行するための後押しにすぎません。
だからこそ、補助金を意識し始めたタイミングは、自社の経営を一度じっくり見直す絶好の機会でもあります。販路開拓の施策として、ホームページやインターネットショップをどう使うかを考えていきたい場合には、補助金のルールを踏まえた制作と運用までを一貫して相談できる会社に話を聞いてみると、計画の具体化が進みやすくなります。
※本記事は2026年10月時点の第20回公募(一般型・通常枠)の情報をもとにしています。最新の公募要領は、商工会議所地区の方は小規模事業者持続化補助金(商工会議所地区)公式サイト、商工会地区の方は小規模事業者持続化補助金(商工会地区)公式サイトでご確認ください。
執筆者プロフィール
株式会社エスエムティ WEBディレクター 平山 純一
みやぎ産業振興機構登録専門家。
IT業界・WEB業界に20年余従事。様々なWebサイトの企画立案・設計業務、進行管理などを主とするディレクション、コンサルティング業務を担当。ECサイト関連では運用・保守業務他キャンペーン企画等も手がける。仙台・宮城の中小企業の「強み」をWEBで可視化し、成果につなげる支援を得意とする。
